カーボンアノードブロックの製造プロセス

アノード材料の製造工程には、石油コークス、ピッチコークス、使用済みアノードなどの原料の予備破砕、焼成、粉砕、ふるい分け、分級、配合、さらにバインダーの前処理と混合、ペーストの成形、焼成、清掃処理が含まれます。

1.原料準備

• 石油コークス、ピッチコークス、バット（使用済アノード）の予備破砕
• コークスの焼成（揮発分除去と導電性の改善）
• 粉砕・ふるい分け・粒度分級
• 骨材の配合

2.バインダー準備

• コールタールピッチの粘度と軟化点の調整

3. 混合・練り

• 加熱したバインダーと乾燥骨材を混練し、均質なグリーンペーストを生成

4. 成形

• 振動成形や押出成形によってグリーンブロックを成形

5. 焼成

• 焼成炉（通常1100～1200°C）で焼成し、バインダーを炭化させ機械的強度を付与

6. 仕上げ

• 所定寸法への機械加工
• 品質検査（密度、抵抗率、強度など）

製造工程で使用される原料

1. 石油コークス

• グリーン（未処理）石油コークスは、残油を熱分解する遅延コーキング装置の副産物として石油精製所から供給されます。遅延コークスとも呼ばれ、アルミニウム製錬におけるアノード生産の主原料として使用されます。
• 石油コークスがカーボンアノード製造に好まれる理由：
  • 高純度（低金属／低灰分）
  • 優れた機械的強度
  • 良好な導電性
• また、製油所では流動床コーキングによって重油から生成される低品質の流動コークスも生産されます。

2. ピッチコークス

• もう一つの代替原料は、コールタールピッチを熱分解・コーキングして生産されるピッチコークスです。
• 石油コークスと比較した場合の特徴：
  • 揮発分が少ない
  • 高密度かつ高い機械的安定性

3. 焼成石油コークス（CPC）

• グリーン石油コークスは、5～10%の水分、8～12%の揮発分、さらに微量の金属・非金属不純物を含みます。
• そのままでは真密度が低く、強度不足で電気抵抗が高いため、アノード製造には不向きです。
• 1250～1350℃での焼成により揮発分が除去され、以下が改善されます
  • 機械的強度
  • 真密度
  • 導電性
• また、CPCの嵩密度が高いほど、アノード品質は向上します

4.  コールタールピッチ（バインダー）

コールタールピッチは以下の理由から、鉄・非鉄冶金産業におけるカーボン・黒鉛製品のバインダーとして最も適しています：

• 高炭素含有量（通常92～95 wt%）
• 優れた結合特性（最適な含浸に必要な軟化点80～110℃）
• 炭化後の高純度（1200℃処理後の灰分<0.3%）
• 低コスト（コークス炉ガス精製の副産物）

そのため、以下の用途における主要なバインダーとなっています：
✓ プレベークアノード（アルミニウム電解）
✓ 黒鉛電極（製鋼用EAF）
✓ カーボンブロック（Mg／Pb／Zn製錬）
✓ カソードペースト（アルミニウム還元槽）

5.  アノードバット

バット（使用済アノード）は、アルミニウム電解におけるプレベークアノード製造のもう一つの炭素源となります。原料として利用する場合、付着した電解質クラストを完全に除去する必要があります。

通常、電解槽から回収したリサイクルバットは焼成石油コークスとともに処理されます。清浄化されたバットは粉砕され、乾燥混合物の粗骨材として新しいアノード配合にブレンドされます。